音楽雑文集


by yyra87gata

『マッドドッグス&イングリッシュメン』  ジョー・コッカー

 
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 8月。今年も「24時間テレビ」がやってくる。このチャリティー番組は今年で28回目だそうだ。昨年は約7億円の募金が集まり、過去の募金総計は約300億円になるという。募金は福祉車両や海外援助資金として使われており、他人との関係がどんどん薄くなる現代日本において、公然と人助けがメディアによって推奨された成功例ではないかと思う。
ちなみに、僕は過去27年間でメイン会場の武道館に行ったことも無ければ、黄色いTシャツを着たことも無い。但し、募金をしたことが1回だけある。1981年8月23日。場所は代々木公園の特設会場だった。
高校生だった僕は、前日から友人の家に泊まっていた。「24時間テレビ」がまだ珍しかったこともあり、夜中に酒を飲みながら見ていたら、徳光さんの口から驚くべき発言が飛び出した。
「明日、昼過ぎから、場所は代々木公園の特設広場でチャリティーコンサートが行われます。ジョー・コッカーさんがイギリスからわざわざこの24時間テレビのために来てくれました!是非皆さん、お集まりください!」ジョー・コッカーといえば、ウッドストックにも出ていた人だ!夜中にちょっとだけパニック。

 普段は大勢の人で賑わう公園も小雨のせいか人影はまばらだった。しかし、特設会場にはどんどん人が集まり、異様な雰囲気になっていた。
 間近で観るジョー・コッカーは、必要以上に怖い顔をしていた。怖い顔からしゃがれた声が絞り出ていた。体を硬直させ、右や左に傾きながら手をプルプル震わせながらシャウト!
映画《愛と青春の旅立ち》の主題歌の大ヒットも無い時期だったので、本当に昔からのファンが集まっていたのではないか。丁度、ザ・クルセイダーズの客演ヴォーカルとして『スタンディング・トール』(1981)を出したばかりだったせいもあり、そのアルバムからの選曲が多かった。でも「DELTA LADY」や「YOU ARE SO BEAUTIFUL」などの往年の名曲も披露してくれたし、最後は「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」でしっかり締めた。
 この翌年、映画《愛と青春の旅立ち》の主題歌が世界中で大ヒットし、ジョー・コッカーは大忙しになる。日本公演も行われた。但し、この公演は、たった55分で終了してしまう。ジョーは根っからの酒好きで(アル中)、歌っていて気持ち悪くなっちゃったらしい。引っ込んだかと思うと、客電が点き、なんだかなぁって感じで終了。
 そんな不完全燃焼の時に、聴くと効果的なアルバムは、『MAD DOGS & ENGLISHMEN』(1970)しかない。総勢43名のバックミュージシャンを引き連れて(レオン・ラッセルやリタ・クーリッジがいた)、57日間・65回のステージを繰り広げたライヴの実況録音版だ(録音場所は1970年3月のフィルモア・イースト)。エネルギッシュなステージが展開されており、オリジナル、カバー取り混ぜて内容の濃い作品に仕上がっている。本当、暑っ苦しいブリティッシュ・スワンプ・ロックとでも言おうか・・・。夏の暑い日に聞くと、さしずめ「夏のガマン大会でドテラを着て鍋焼きうどんを食っている」感じか・・・。でも、名演だよ。
            
 今でも現役のジョー・コッカー。長いミュージシャン・キャリア・・・ヴォーカル一筋38年間!
愛は地球を救う!という言葉を見るとヨレヨレのジョーを思い出すんだよな。ちなみに、募金した金額は1000円だったかな・・・。

2005年8月26日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-16 10:22 | アルバムレビュー | Comments(0)