音楽雑文集


by yyra87gata

『ああ我が良き友よ』 かまやつひろし

 “ひょうひょう”という形容がしっくりくるアーティストとして「かまやつひろし」をあげたい。かまやつさんは、日本の音楽界の生き字引みたいな人で、芸歴がとても長い。
GSのザ・スパイダースは有名だけど、その前から井上ひろし、守屋ひろしとともに「ロカビリー3人ひろし」で活躍したり、お父さんのティーブかまやつとともにジャズ喫茶で演奏したりと八面六臂の活動をしていた。GSブームd0286848_11184018.jpgの中、ソロアルバムを2枚発表しているが、『ムッシュー』(1970)は、かまやつさん自身による一人多重録音の作品である。このアルバムは「宅録」の元祖的なもので録音日は1968年頃である。この当時、一人多重録音を行っているミュージシャンは、国内では確認できない。海外では、ポール・マッカートニーやトッド・ラングレンがいるが、時期的にはかまやつさんの方が先だった!かまやつさんによるオリジナルは、サイケな「ペイパー・アシュトレー」やボサ・ノヴァ風の「二十才の頃」、テンプターズに提供した曲の歌詞を変えて歌った「長い道」、ショーケンの歌詞が凄い「豚殺しの歌」(クレームがつき、放送禁止)などヴァラエティに富んだ内容だ。

 僕が馴染み深いのはもう少し後の作品。『ああ、我が良き友よ』(1975)である。
よしだたくろうが曲を提供した「我が良き友よ」が大ヒットした頃に発表されたアルバムで、タイトルどおり多くのミュージシャンが参加している。松本隆と細野晴臣の「仁義なき戦い」や加藤和彦の「サンフランシスコ」「歩け歩け」井上陽水の「ロンドン急行」などA面はソウル風にまとめられている。B面は大瀧詠一の「お先にどうぞ」堀内譲の「何とかかんとか」は50年代のポップス風、遠藤賢司の「OH,YEAH」はファンキーな作品。そして、このアルバムのハイライトは、ラストに収録されたかまやつさんのオリジナル「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」だ。来日中だったTOWER OF POWERによるファンキーなサウンドがかまやつさんのトーキング・ブルーズと絡み合い、異彩を放っている。この作品は、発表20年後にクラブ・シーンで再評価され、サンプリングやダンスミュージックとして採用された。とにかく格好良い。
かまやつさんはその後、二匹目のドジョウを狙って、拓郎作曲の「水無し川」を発表したが、全然かすりもしなかった。そういえば、その時のバックバンドはデビュー当時のアルフィーだったんだ。

 かまやつさんのすごいところは、本当に音楽が好きなんだなぁ、というところ。ジャズだろうがGSだろうが、ロカビリーだろうが、フォークだろうが一切関係ない。GSが落ちぶれて、GSバンドが解散していく中、かまやつさんはギター1本持って「第3回中津川フォークジャンボリー」に参加していた。「裏切り者!」とか「日和見主義!」なんてヤジが飛ばされたらしいけど、そんなの関係ないじゃん、みたいな“ひょうひょう”さがかまやつさんの強みだと思う。
 1981年発表の「旅の歌」というシングルがある。CD化されていないが、この歌が最高に良い!日本の情景が浮かぶ歌で、ふるさとの味のする歌だ。CD化してくれないかなぁ。それと忘れてはならないのが、《はじめ人間ぎゃーとるズ》のエンディングテーマも最高に良い!かまやつさんって良い歌いっぱい持っているんだよね。「どうにかなるさ」なんてかまやつさんを表している秀作だもんね。
最近は、弾き語りが多いみたいだけど、芸歴の長さを活かして『ああ我が良き友よ』みたいなアルバム作ってくれんかなぁ。
 

2005年8月29日 
花形
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by yyra87gata | 2012-12-16 11:20 | アルバムレビュー | Comments(0)