音楽雑文集


by yyra87gata

『豊かなる1日』  吉田拓郎

 来年の9月23日(祝)、31年ぶりに吉田拓郎とかぐや姫がジョイントコンサートをつま恋で開催することが決定した。1975年の時は5万人以上の人が集まる大イベントになり、社会現象にまで発展した。そのイベントが同じ場所で同じメンツで行われるのだ!
来年は拓郎も60歳。当然観客も同じだけ歳を取っているので、どちらが倒れるかのバトルライヴの様相を呈している。

 2005年9月3日、つま恋で吉田拓郎のコンサートを観た。3年続いている総勢24名を擁するビッグバンドを率いてのコンサートである。拓郎は3年前に肺がんに倒れ、一時は引退の文字もちらついたが、この3年間でどんどん元気になってきている。コンサート時間も3時間に及び、昔のようにシャウトする光景も頻繁にみられた。
MCでは、“おじさん””青春は終わった””体力がない”“すっぴんの顔が見せられない”などを連発し、枯れた部分を強調していたが、「人生を語らず」や「落陽」などを歌い上げている時の目はメラメラと燃え滾っていた。
拓郎はシャイだから(格好つけ)嘘ばっかりついているが、それを長年見続けてきたファンは拓郎のやる気を見逃さなかったと思う。
 
 僕の音楽的思考回路は拓郎を聞き始めた10歳の頃から何ら変わっていない。どんな音楽が出てきても拓郎だけは聴き続けていた。中にはしょうがないなぁ、というアルバムも何枚もあったけどとにかく聴き続けてきた。
エレック、ソニーそしてフォーライフ。現在はインペリアルとレコード会社は変わっているが、アルバムは拓郎の生き方を投影する証だ。拓郎は職業作家ではない。自分の生き方や生活を切り売りしながら作品を作るタイプのアーティストである。だから、今の拓郎の気持ちが聴きたければ、最新アルバムを聴くことなのだ。
また、多感な頃に聴いた拓郎の曲を今聴くと、その時にフラッシュバックする。しかも拓郎の唄は前向きな唄が多いので、元気が出ることが多い。
“苦しくても、息切れても、泳ぐしかない”(虹の魚)
“越えていけそこを、越えていけそれを・・・”(人生を語らず)
“明日のことは言うな、やるっきゃないのさ”(JUST A RONIN)
“私には私の生き方がある。それは恐らく自分というものを知るところから始まるものでしょう”(今日までそして明日から)

 最近の生の拓郎の声を聴くならば、『豊かなる1日』(2004)をお勧めする。
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 2003年12月2日に行われた相模大野公演を収録した2枚組CD。瀬尾一三をバンドマスターに据え、ビッグバンド・コンサートツアーを敢行。その模様を収録したものだ。肺がんの手術を行い、その半年後にはステージに立っていた。そのコンサートである。1曲目の「今日までそして明日から」は復活の歌だ。ラストの「人生を語らず」まで一気に聴く事が出来るアルバムである。DVD映像つき。

2005年9月5日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-16 13:02 | アルバムレビュー | Comments(0)