音楽雑文集


by yyra87gata

『四重人格』  ザ・フー

 THE WHOはTHE BEATLESやTHE ROLLING STONES、LED ZEPPELINと並ぶ英国を代表するバンドであるが、日本では過小評価されている気がする。いつも何かに苛立ち、ウッドストックのパフォーマンスでも暴れまくっていたので、乱暴なバンドのイメージが付いてしまったのかもしれない。ゆったりとしたバラードもあるが、THE BEATLESやTHE ROLLING STONESのような売れ線の曲ではないため、女性ファンが付かないということも理由のひとつだろう。しかし、THE WHOのパワーはハジケルという表現が一番相応しく、どのバンドも太刀打ちできない。
 ドラム:キース・ムーン、ギター:ピート・タウンゼント、ベース:ジョン・ウェントウィッスル、ヴォーカル:ロジャー・ダルトリーの4人。ハジケル順番で列記してみた。
キースのハジケ方は、半端じゃない。暴れまくりながらリズムを刻み、最後はドラムセットを破壊してしまう。酒を飲みながらのプレイは日常茶飯事で、プレイ中に大変なこと(ここでは書けない)を何度もやらかした。でもリズムはしっかり刻む。いつも乱暴だが、決める時は決める。まるでタイガー・ジェット・シンのようだ(誰もわからんな、きっと)。
それに比べてピートはアクションギタリストの草分けで、手をブンブン回しながらストロークを繰り返す。足を揃え、膝を曲げた独特のジャンプは、長身で手足が長いピートだからハマるアクションだ。そして最後はギターを破壊してしまう。ウッドストックでは観客にぶっ壊したギターを投げていたし、1973年の全米ツアーではハイワットのアンプにギターを突き刺していた。彼は一体何本のギブソンSGを壊したのだろうか。
ジョンはプレイがハジケている。歪ませた音でスラッピングを繰り返し、リードギタリストの様にベースを弾く。3ピースのバンド構成であるが、音が貧弱にならず、ピートが安心してリズムギターを弾きながらアクションが出来るのはジョンのおかげだ。RUSHのゲディ・リーがジョンをフェイバリット・ミュージシャンにあげていることも理解できる。
ロジャーは、破裂系のヴォーカルである。彼にコブシは要らない。ブルーズシンガーが良くやる“ディー”を“ディエー”とやる歌い方を彼はしない。あくまでも声も楽器の一部として爆音の如く発する。
そんなTHE WHOだが、キースとジョンは天国に行ってしまった。

《トミー》(1975)
THE WHOのギタリスト、ピート・タウンゼントが創作したロックオペラを異才ケン・ラッセルが映画化。主演はTHE WHOのヴォーカリスト、ロジャー・ダルトリー。当時のロックサウンドに乗って繰り広げられるド派手な映像はサイケデリック且つ異様な迫力。四重人格者を中心に繰り広げられるロックミュージカル。当時のロックサウンドに乗って繰り広げられるド派手な映像はサイケデリック且つ異様な迫力。クラプトンもヘロイン中毒の最中に神父役で出演。ケン・ラッセル監督。

《さらば青春の光》(1979)
THE WHOが1973年に発表したアルバム『四重人格』を基に若者たちの暴走、愛、挫折などを描く青春映画だ。THE WHOのファン、モッズ諸氏は必見で、1960年代当時の音楽やファッションが好きな人はマスト。モッズの青年にスポットを当てたヒューマンドラマで、目立たず、友人関係もあまりうまくいかない気弱な少年がモッズに憧れ、モッズに染まっていく話。モッズのカリスマが、普段はホテルのベルボーイで人のために汗を流しているシーンを若き日のスティングが好演している。少年はその姿を見て現実を知るところなどは名シーンである。フランク・ロダム監督。THE WHOがプロデュース。

 THE WHOには名盤がたくさんある。『フーズ・ネクスト』(1971)や『ライブ・アット・ザ・リーズ』(1970)などを普通は一番に挙げるのだろうが、今回は『四重人格』(1973)を挙げたい。その意味で上記の映画2作品はアルバムを理解するうえで重要な作品なので、映像がらみで聴くと尚一層楽しめると思う。

2005年9月14日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-16 14:07 | アルバムレビュー | Comments(0)