音楽雑文集


by yyra87gata

ロンドンでフォートップス

 
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 大学の卒業旅行でイギリスとスペインとポルトガルに行った。変な組み合わせだが、当時行きたかった国を調べて、勝手に組んだ気ままな旅行だった。
イギリスは当然リバプールに直行し、ビートルズゆかりの地を訪ねた。ロンドンに戻ってからもアビーロードや“マーキークラブ”“ウィスキー・ア・ゴー・ゴー”などのクラブに行き、刺激的な音楽に触れることができた。そして、せっかく海外に来たのだから大規模なコンサートに行きたくなり、ロイヤル・アルバート・ホールやウェンブリー・アリーナなどのコンサートスケジュールを確認した。1989年2月のことである。
 結果から言って“ビッグアーティストの公演は何も無かった!”。コンサート情報をチェックしていくと、滞在期間中に1つだけ有名どころのコンサートがあり、考える間もなく会場のハマースミス・オデオンに向かっていた。
 ハマースミス・オデオンは歴史ある劇場で、規模でいえば渋谷公会堂クラスである。横に広い舞台が特徴で、どこからでもよく見えるといった印象。フルバンドやオーケストラが入っても十分スペースを確保している。
 会場に着くと“FOUR TOPS SOLD OUT”と書かれていた。そう、イギリスでモータウンの重鎮を見るのだ。ちょっと変な気分だが、これも何かの縁だろうということで(?)ダフ屋にアタックした。海外のダフ屋は当り前の様に存在するし、学生がバイト感覚で行なっていることが多い。ちなみに海外では正規のチケット屋で買ったとしても定価なんてあってないようなもので、平気でプレミアム価格を付けてくる(2ヵ月後のボブ・ディランのライヴがチケット屋で販売されていたが、15ポンドの定価に55ポンドの値段がついていたからね)。
さて、ダフ屋君と交渉。日本人と見るや値段をふっかけてくるが、じっくり交渉し、日本で見る外タレより安い価格で交渉は成立した。ちなみにチケット表示の1.5倍だったけど。

 FOUR TOPSは黒人のコーラス・グループ。デトロイト北部の2つのコーラス・グループのうち4人が集まり(レヴィ、デューク、オビー、ペイトン)、高校の卒業パーティーで歌ったことがきっかけとなり結成された。60年代に数々のヒット曲を量産し、モータウンの一時代を築いた。モータウンを離れた70年代後半にもヒットを飛ばし、変わらぬ人気を誇るアメリカの超有名アーティストだ。
 1990年、"Rock & Roll Hall Of Fame"(ロックの殿堂入り)を果たした。結成からメンバーチェンジすることなく走り続けた彼らの功績が称えられたのだ。そして、1997年にメンバーのペイトンが亡くなったが、名前をTHE TOPSと変え、今でも活動している現役だ。
 
 ライヴはフルバンドをバックに4人が歌いまくる王道のステージだった。スィートソウルからファンク、アカペラなどブラックミュージックのオンパレードで、客も一緒に歌いまくる熱狂のステージで、エンターテイメントという言葉がぴったりくる。ハードロックやヘビーメタルのような熱狂のステージは音が単純にでかいということでその気にさせられてしまうが、こういったソウルフルなステージはヴォーカルの迫力と繊細なコーラスワーク、そして誰もが踊れるシンプルなリズムに尽きる。
 3度のアンコールのあと、興奮した僕はステージに駆け上がってしまった。ヴォーカルの4人は舞台袖から楽屋に消えてしまったが、ライヴを盛り上げたフルバンドのバンドマスターの所へ行き、サインを貰った。舞台上にしばらくいて、かたづけを少し見ていたら、ふと自分の取った行動に驚いていた。僕は舞台の上でなにやってるんだ?
警備もおおらかだったのかもしれない。
 FOUR TOPSはアルバムよりもシングルチャートを常に賑わしており、ベスト盤を購入した方が彼らの熱いヴォーカルをたくさん聴く事ができる。現在発売されている作品の中では1200円で彼らの絶妙なヴォーカルが楽しめる『THE BEST 1200 FOUR TOPS』(2005)がお勧め。
 
2005年10月5日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-16 22:38 | コンサートレビュー | Comments(0)