音楽雑文集


by yyra87gata

ポールへの手紙

 d0286848_020288.jpg「おいおい。いきなりアウェーかよ。」ポール・ロジャースはさいたまアリーナの舞台に立って、きっと思ったことだろう。クィーン+ポール・ロジャース公演の初日である。

だから、やめろって言ったんだ。何であんたがクィーンの歌を歌わなきゃなんないの?クィーンはロジャーとブライアンに任せておけばいいじゃない。クィーンの残党もフレディはもう帰ってこないんだから、代わりのヴォーカルを考えちゃいかんよ。フレディの代わりは誰もつとまらないんだから。考えてもみなよ、フレディはひとつのジャンルみたいなもんさ。いくらあんたが歌を上手く歌ってもフレディの味は出せないんだよ。今回のライヴで、僕のようにクィーンとあんたを別物として聴くことができるならいいけど、日本のアサハカなにわかロックファンは受け入れないだろうな・・・。
だいたい、スクリーンにフレディ出すなよ!あんたの立場がねぇじゃねぇか!
ま、あんたも認めた演出なんだろうけど・・・。ほんとっ、おひとよしだよ。ポールさん。
 
 ポール、あんたは以前も失敗したじゃない。1985年のザ・ファームだよ。ツェッペリンを解散し、老後を苦慮していたジミー・ペイジと組んだバンドだよ。あれだって、ジミーから誘われてヴォーカルとしてバンド活動をしたけど、今回と一緒で、にわかロックファンは、ツェッペリン・ナンバーを求めていたさ。どうしてヴォーカリストのアクが強いバンドにひょいひょい入っちゃうかね。あんたはひとりでも十分なパフォーマンスを見せてくれたじゃない。フリー、バッドカンパニーでは全米・全英ともにナンバーワンヒットを出し、ロッド・スチュアートには”世界最高のロック・ヴォーカリスト”と称えられていたじゃない・・・。

 僕は、洋楽デビューがフリーだったから、人一倍あんたに対して思い入れがあるのよ。フリーの来日時はさすがに小学生だったので行くことはできなかったけど、バドカンの武道館やその後のソロ活動の来日時には、必ず参加したよ。
 特に前回の来日は久々に出したオリジナル・アルバム『NOW』(1997)をひっさげてのライヴだったね。舞台はアンプとドラムセットが雑然と並べられているだけ。なんのてらいも無いストレートなロックを聴かせてくれたじゃない。『NOW』自体も何のギミックも無いロックアルバムで、アナログレコーディング、スタジオライヴ録音の名盤だと思うよ。
 一時期、迷走していた時期もあったけど、それは世界のファンがフリーやバドカンの頃のポールを求めすぎていただけで、あんたは心底ロックに向き合っていたと思うよ。ただ、そこにジミーの誘いや、いろいろな人とのコラボアルバム『マディー・ウォーターズ・ブルース』(1993)の発表(ポールが敬愛するブルーズマン、マディー・ウォーターズの楽曲をいろいろなギタリストと共にカヴァーした。ジェフ・ベックやスラッシュ、ニール・ショーン、ブライアン・メイなど参加)なんかがあって、活動がぼやけちゃってたんだよね。
 ま、それはそれとして、とにかく『NOW』で覚醒したわけで(タイトルもベタでしょ)、あんたの音楽活動も活発になっていったよね。そんで次の作品が『ELECTRIC』(1999)。タイトルもすごいけど、前作を踏襲した作りに、僕は感激したもんだよ。ああ、あんたはフリーのあの頃に戻っているんだなぁ、と。音楽機器は進化しても、ソウルは変わらないんだなぁとしみじみしながら大音響で聴いたもんだ。
 
 僕は明日の横浜アリーナで久々にあんたを観る。
日本びいきのあんた(別れちゃったけど、元奥さんは日本人)に言いたい!今回のことで日本を嫌いにならんでくれ!そして、次は独りで来てくれ!観てもいないで言うのも何だけど、クィーンとあんたは、別々で観るもんだと思うよ。
 
明日のライヴでドラマ《夜明けの刑事》(坂上二郎や鈴木ヒロミツが出演していた昭和50年代の刑事ドラマ)のテーマを歌ったらぶっ飛ぶだろうな。何であのドラマのテーマソングをあんたが歌ってたのか未だにわからん。でも、そんな歌知っているやつなんか、明日来てないだろうね。

2005年10月29日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-17 00:20 | 音楽コラム | Comments(0)