音楽雑文集


by yyra87gata

フォークブーム?

 約10年前、僕は現在も音楽活動を行っている先輩と一緒に、テレビの深夜番組に出演したことがある。それは、フォークソングの特集番組だった。あるライブハウスに集まり、持ち歌を披露し、フォークについて討論会が開かれた。真面目な企画と思いきや、司会は“きたろう”だったので、あとはご想像にお任せするが、その内容はフォークを時代遅れの文化としてとらえ、その文化に必死にしがみついている人たちを紹介するものだった。
 その当時フォークは非常に劣勢で、“フォークなんてまだやってるの”“きったないイメージがある”“貧乏そう”などといった世間の声が番組内で放送された。平成のこの時代にまだフォークという悪魔に取りつかれているかわいそうな人たちは、昭和を引きずっている人が多く、ちょっとキワモノにも見えた。
但し、僕も先輩もフォークという概念で音楽活動をしていたわけではなかったので、ちょっと場違いな印象を受けた。

 そんなフォークが今、大ブームだそうだ。往年のバンドが数多く再結成し、フォーク集会があちこちで開催されている。解散したGAROや赤い鳥のBOXセットが飛ぶように売れ、往年のアーティストがコンサートを開く。拓郎とかぐや姫が9月につま恋で大きなイベントを行なうこともそのひとつの例だろう。
フォークアーティストへの注目や昔の隠れた音源の発表からもわかるように、それを求める往年のファンが音楽シーンに舞い戻ってきたともいえる。
街にはフォーク居酒屋がオープンし、会社帰りのサラリーマンがネクタイ姿で弾き語りをする・・・。
 団塊世代の定年が近づき、余暇を楽しむ時間も増え、まだまだ若い気持ちの親父たちが、昔熱中したフォークソングを懐かしむ。高度成長期の中、企業戦士として働き尽くめの日々がもうすぐ終わるとき、自分を振り返り何か忘れ物をしてきているのでは、と思うことがあるそうだ。
例えば、リストラによる人員整理で落ち込んでいるとき、昔の音楽に癒されるということが多々あるようで、フォーク居酒屋はそんな親父たちの吹き溜まりと化している。酒を飲んで、好きな歌に囲まれていると昔にフィードバックし、子供のようにはしゃいでしまう。酒が入っている分、始末が悪いが、歌やギター演奏に再燃する自分を見つけてしまうのだ。そして、金銭的にも余裕ができているので、昔変えなかったマーチンやギブソンを即金で購入する。あの頃の憧れの楽器を手にし、郷愁に浸ることは全然悪いことじゃないし、それで癒されるのであれば最高の薬である。
また、こういった輪廻する文化はいつの時代にもあって、新しいマーケットを生む現象を作る。そしてメーカーは昔の器材の復刻版を出し、ブームに拍車をかけ、親父たちはそれにコロッとはまってしまう。いやはやその気持ちが僕は痛いほどわかる。
もし、ローランドのコーラスアンサンブル(CE-1)なんてエフェクターが復刻されたら、意味も無く購入してしまうだろう。
 
 10年前のフォーク事情は・・・皆無に等しかった。
今改めて考査すると音楽は不変なもので、聞き手が変わっただけに過ぎない。
音楽のパワーに聞き手が負けていたともいえる。ま、そんなことより、良い作品は残り、その作品はみんなから愛され、何十年経っても歌い継がれていくだけのことだ。間違いない。なぜなら僕は30年以上も変わらぬ気持ちで音楽を聴いてきた自負があるからだ。

 さて、あと30年も経つと、果たして今の音楽が再ブームになるのだろうか。
エロかっこいい人は30年後にどうなっているのだろう・・・。
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2006年5月10日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-21 15:09 | 音楽コラム | Comments(0)