音楽雑文集


by yyra87gata

『RENT』   オリジナル・サウンド・トラック

 
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 レイトショーで《レント》(2005)というミュージカル映画を観た。
1989年から1990年にかけてのニューヨークの若者達を描いた作品で、テーマは『限られた時間を精一杯生きる』というもの。ブロードウェイで今も上演されている大ヒットミュージカルの映画化である。
当時の世相として麻薬、同性愛、AIDSといった重たいテーマが出始めた頃で、舞台となっているニューヨークのイーストビレッジの若者たちの生き様をロックミュージックに乗せて物語は進む。重たいテーマを持つミュージカルではあるが、軽快なロックやゴスペルに乗せ、そして夢に向かってひたむきな若者像を描いた秀作である。
まず、なんといっても曲が良い!
そして、歌が上手い!本当に上手い!B級ミュージカルにありがちな大げさな歌いまわしや演技は無く、自然に、感情の赴くままに歌声を発している。 
 僕は数多くのロックやフォークを聴いてきたが、歌の上手な人はまだまだいっぱいいるのだな、などと変な感心をしてしまった。なんせ、私はオープニングの歌から全身に鳥肌がたち、あとは最後までつきぬけてしまったからだ。
 そもそもこの作品は、別の映画を観に行ったときの予告編で知った。
 そして、何と予告編の時点で僕は涙が流れてしまったのだ。ストーリーではない。歌の上手さである。
ゴスペル調の「シーズンズ・オブ・ラブ」を歌う主人公たち。その中でもソロパートを歌うトレイシー・トムズの伸びやかなヴォーカルに涙してしまい、早く本編が観たいと思ったのだ。

“52万5600分。あなたは1年をどんなふうに計りますか?”
朝日の数?夕日の数?
真夜中の数?
笑いの数?争いの数?
愛を目安にしてみたらどうだろう・・・

 芸術家の卵たちは悩み、苦しみ、貧困に耐え、それでも自分の才能を信じ、成長していく。
似たようなシチュエーションで《フェーム》(1980)というミュージカル映画があったが、《レント》は、メジャーになろうとする苦労ではなく生きることへの輝きを求めたものなので、どちらかというと《ヘアー》(1979)に近いかもしれない。
同性愛やドラッグなど苦手だと人もいるかもしれないが、この作品は見てほしい。生きる意志・今日を精一杯生きるという熱いエナジーが伝わるはず。
それから、レンタルDVDで観ないほうがいい。(現在ロードショー中だから無いと思う)
音楽映画はでかい画面とでかい音量で観ないとだめ。伝わり方が全然違う。

 私は《ヘアー》というミュージカル映画が大好きだが、それに匹敵するくらいのインパクトがあった。

そして今は、サウンド・トラックを涙して聴く毎日である。

2006年5月12日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-21 15:17 | アルバムレビュー | Comments(0)