音楽雑文集


by yyra87gata

六本木ピットインのこと

 
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 六本木ピットインが閉鎖されてもうすぐ2年になる。ビルの老朽化に伴い建替えを行なう為、閉鎖してしまった日本屈指のライブハウスだ。新宿ピットインから分岐し、ジャズだけにとらわれず、様々なすばらしい音楽を紹介していた一流のハコだった。
毎日夜遅くまで、いろいろなミュージシャンがセッションを繰り広げ、演奏の火花を散らす。僕がミュージシャン指向になったきっかけの場所だ。
ライブハウスを知る前までの僕は、しっかりしたコンサートをショーとして観せるアーティスト指向の高いミュージシャンが好きだった。ショーアップされたライティングやギミック、衣装等でコンサート全体を楽しむことが好きだった。しかし、高校時代から音楽の嗜好も少しずつ変わり、バッキングミュージシャンの職人芸ともいえる技や使用楽器などに目が行くようになった。メインアクターよりもバックミュージシャンでライヴを選ぶようになっていった(これはレコードを買う時も同じ)。
職人さんたちを間近で感じるために小さいハコを選ぶ。1流の職人さんたちが比較的楽に観ることができるハコが六本木ピットインだった。

 村上ポンタ秀一は、いろいろなミュージシャンと出演していた。佐藤博や坂本竜一などのバックでメインアクターよりも目立ったパフォーマンスを行なっていた。僕は高校時代にドラムを叩いていたので、ポンタに釘付けだった。
ポンタのハイハットを刻むアクションは世界のどんなドラマーよりも格好良いと思ったし、背筋をピンと伸ばしながらタムロールを派手に決めるところなど、思わず歓声を上げていた。そして、つっこみ気味かと思いきやしっかりアフターで刻む4ビートは、オーディエンスにスリリングな時間を与えてくれた。
汗だくになりながらスーパープレイを連続させたあと、曲間に気さくに客とやり取りを行なうところなどは親近感も覚えた。
 逆に深町純は孤高のピアニストだ。和田アキラとのDUOを何度か観たが、速弾きのギターと深町のもつ空間が緊張感を張り詰めさせていた。
リズム隊は無く、ピアノとエレキギターのコラボは片方でリードを取る時、もう一方はリズムを刻む。そしていつの間にかバトルを繰り広げる。固唾をのんで見守るオーディエンス・・・。曲が終り拍手が鳴り止んだあともみんなシーンとしていた。しゃべったら怒られそうな雰囲気。
 渡辺貞夫はピットインをホームグランドのように使っていた。毎年クリスマスコンサートを開き、熱い演奏を繰り広げていた。世界のトップミュージシャンが目の前で、しかも普段着で演奏している。この普段着が職人ぽくって良いのだ。貞夫さんもラフな格好でリラックスしながら演奏する。リラックスした中から普段では中々聴くことが出来ないトリッキーなプレイも出て、我々を喜ばせてくれた。
その他にも山下達郎が4時間を越えるライヴを繰り広げたり、吉田美奈子や矢野顕子はフラッとお客さんに混じって飲んでいたり、エルビン・ジョーンズは奥さんと仲睦まじくライヴを観覧していたり・・・。

 ライヴの料金も良心的で、我々の味方だった。ワンドリンク付・4000円くらいで観ることが出来た。
それはそうと、最近のコヤは料金が高い!
ドリンクだけでなく、食事を取らなければならないというシステムのコヤが多くなり、僕のように音楽のみを楽しみにしている者にとって、余計な出費になる。平気で1万円を超してしまうのだ。数多く行くことが出来なくなる。

六本木の交差点から東京タワーを目指して歩くあの道を最近歩くことが無い。
さて、六本木ピットイン。いつ復活してくれるのやら・・・。

2006年6月23日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-22 20:12 | 音楽コラム | Comments(0)