音楽雑文集


by yyra87gata

記憶に残る迷ライブ・・・ダディ竹千代と東京おとぼけキャッツ

 
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 ステージに向けて開いたビニール傘。ドラムは乾いたビートを刻み、燕尾服姿にちょび髭を蓄えたダディは、叫ぶ。
「次いくぞー!パン粉―っ!パン粉―っ!」
骸骨の全身タイツを身にまとった“なかよし三郎”は、ジャンプ一発!ネックに日清製粉のパン粉をたたきつけた。逃げ惑う客。ダディの細い目が怪しく笑う。

みかんや山芋をネックで摩り下ろし、ドロドロになったスティングレイベースのネックやボディにパン粉が飛び散り、まるでベースがてんぷらの様に変わり果てた姿を晒した。

会場の“渋谷LIVE INN”は一瞬の静寂のあと、大爆笑に包まれた。
“なかよし三郎”はプルプル震え、ダディはカラカラと笑っていた。・・・ある日のライヴである。

 ダディ竹千代と東京おとぼけキャッツは、70年代後期から80年代にかけてライブハウスを中心に活動していた大編成のコミックバンドである。
その筋では著名なスタジオミュージシャンが集まり、作詞家の加治木剛ことダディ竹千代がヴォーカル&MCで参加。音楽好きの連中が、音楽ネタで観客を笑いの渦に巻き込んでいった。
中でもリーダーの“なかよし三郎”のチョッパーベースのテクニックと重戦車のようなリズムを叩き出す“そうる透”のリズム隊は、コミック抜きですごかった。
ギターの“キー坊金太”はモノマネ名人。リッチーからブライアン、果ては謎のフォークシンガーまで、ツウ好みのモノマネを披露する。
助ちゃんこと“ボーン助谷”は1人ホーンセクション。なんでもこなす(やらされている)。実際は実力派のトロンボーン奏者であるが、“おとぼけ”では謎のストリッパーになって、特に女性客を沸かせていた。

 とにかく、飽きさせないステージでは定評があった。しかし、彼らのオリジナルレパートリーがネタとかけ離れすぎていて、薄味になってしまう。メチャクチャなお笑いネタを披露したあと、R&Rで盛り上がろうぜ!と言われても、どこか冷めてしまう雰囲気があった。その点が商業的な成功に結びつかなかったのだろう。
技術も笑いも定評があるが、ヒットしなかった。山下達郎が曲を提供しても泣かず飛ばず。

 ダディ竹千代と東京おとぼけキャッツ・・・ヒット曲という視点だけでは、判断できないバンドである。
最近、昔の音源が復刻されている。映像も出る予定だとか。・・・楽しみである。
記録ではなく記憶に残るバンドである。

2006年7月24日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-22 20:36 | コンサートレビュー | Comments(0)