音楽雑文集


by yyra87gata

19年前のピンククラウド

 僕も家内も耳が聞こえなくなっていた。渋谷・公園通りの坂を下りながら、周りの人たちは怪訝そうに僕たちを振り返る。僕たちはお互い話しているつもりだが、叫びあっているようにしか見えなかったからだ。
代々木オリンピックプールで行われたピンククラウドの“BRAIN MASSAGE”と題されたライヴは、とにかく音がでかかった。本当に脳みそがマッサージされた。ライヴで最前列に陣取った僕たちは約3時間、音のマッサージでトリップしていたのだ。

 客電が落とされ、PAから大音量で「Stories」が流れた。もうその時点で会場はひとつの塊になっていた。70年代の自由なフリーコンサートの雰囲気。みんな声を上げスピーカーから流れる音楽をくちずさんでいた。照明が観客を照らす。中には肩車をしているカップルもいた。
BGMにのり3人が舞台に現れる。怒号のような歓声。
そして、“1979.7.14日比谷野音”を彷彿させるあの「君が代」でコンサートは始まった。ジミヘンの「スター・スパングルド・バーナー」の如く、チャーのストラトは悲鳴をあげながら旋律を奏でた。
そして3人は演奏に集中していった。彼らのひたむきな演奏は、観ている私たちを興奮の渦の中に巻き込んでいった。

 1990年のピンククラウドは、精力的に活動していた。『INDEX』(1990)、マキシシングル「WITHOUT LOVE」(1990)の発売。テレビ音楽番組のレギュラーを持ち、ライヴ活動はもとより、ハードカヴァーの写真集まで発表していた。
1989年にチャーによって設立された江戸屋レコードは、当初、通信販売中心の手作業でデリバリーするインディーズレーベルだった。その後、正規の販売ルートにのせメジャー化していくが、1990年はその勢いの真っ只中。とにかく走り続けていた。

 “BRAIN MASSAGE”は新旧取り混ぜたコンサート。途中ホーンセクションや金子マリ、佐藤準といったおなじみのメンバーもステージに上がり、会場を盛り上げていった。

2回のアンコールを行ない、最後は「風に吹かれてみませんか」で終了。
MCもほとんどなく、一気に突っ走った。

 なぜ、16年も前のライヴを思い出したかというと、来月ピンククラウドのお宝DVDが何枚か発売されるとのこと。しかも、今は無き“渋谷LIVE INN”のライヴ(1987年12月11日)もそのラインアップに入っているらしい。
19年前の“渋谷LIVE INN”のライヴ、僕は観ているんだけど人があふれかえって私の位置からではチャーとルイスの頭しか見えなかったのだ。ジョニーなんてまるっきり見えない。一緒に行った家内は人に埋もれて音しか聞こえず、挙句、気持ち悪くなって非常階段で休んでいた。
でも、会場のノリはすばらしく、サウナ状態・酸欠状態で、それこそ“BRAIN MASSAGE”である。
だから、もう一度あの興奮を体験したい!
ということで、11月8日発売を待て!

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2006年10月18日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-24 12:04 | 音楽コラム | Comments(0)