音楽雑文集


by yyra87gata

GとF

 
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 ギブソンとフェンダーはアメリカを代表するギターメーカーである。私の中学の頃、フェンダーもギブソンも高嶺の花で、常に国産のギターとは別扱いであった。店の奥の硝子ケースに入れられ、買う意志の無い客は触らしてももらえなかった。だから、当時ストラトキャスターとレスポールの音の違いなんぞわからなかったので、形で好き嫌いを判断するしかなかった。加えて、好きなミュージシャンがどちらかのメーカーを使っていると、そのモデルに憧れていくという単純な感覚があり、例えば、クラプトンが好きだったら、自然とストラトキャスターに目が行く。オールマン・ブラザースが好きだったら、レスポールという具合に・・・。ギターもろくに弾けない小僧の感覚なんてそんなものだった。
そして自分でギターを触るようになると、少しだけその特徴を掴み始める。贔屓のギタリストが出てこようものなら、その音にのめりこんでいくものだ。
私の好きなギタリストは、みんなストラトキャスターを使用していた。
E・クラプトン、J・ベック、R・ロバートソン、R・ギャラガー、鈴木茂、チャー・・・。だから私も大学時代にエレキギターを購入する際、ストラトを第一に考えた。しかし、実際に弾いてみると、どこかしっくりこない。音に対する不満というより、楽器そのものの抱き心地が悪いのだ。まず、指板のアールがきつく、アコースティックギターしか弾いてこなかった人間は、なんとも違和感を覚えた。そして、セットアップネックも安いイメージがあった。木と木をボルトで留めるなんて日曜大工みたいな気がしたのだ。
また、購入を考えていた1980年代半ばのフェンダーの出来は、お世辞にも良いとは言える代物ではないと先輩に教えてもらっていた。大量生産、良い木の枯渇など・・・。
極めつけは、ある雑誌で読んだ記事。クラプトンがストラトは正直言って弾きづらいモデルだ。弾きこなすために練習も必要だ・・・、などと語っていたので、その言葉も鵜呑みにしてしまった。クラプトンはその後のコメントで「弾きづらいから逆に面白いんだ・・・」と言っていたが・・・。
しかし、初心者の私は、クラプトン大先生が弾きづらいといっているストラトを自分が弾けるわけ無いと思い、当然選択肢から外れていった。必要に迫られてエレキギターを購入しなければいけなかったので、選択肢はギブソンになるわけで、レスポールが頭の中に踊った。
ギブソンは、アメリカでもフェンダーより上に見られているという話を聞いたことがある。それは歴史に基づくものなのか、それとも人気なのか不明だが、ヴィンテージ市場でも同年代でギブソンとフェンダーを比べてみても明らかな価格差が出ているようだ。

 レスポールを探し始めたある日、楽器屋でSGを見かけた。
レスポールと比べ、SGは異彩を放っていた。学校のみんなは当然レスポールを購入してくると思っていたようだが、私はもともとちょっとひねくれた性格なので、そういった王道を好まないところが多々ある。だから、ありがちなパターンからちょっとズレたモデルを選択してしまう癖がある。
固体の軽さと図太い音をした1965年のSGを選択するのにさほどの時間は要さなかった。(しかも、ピックアップはPAFと呼ばれる1963年ごろまでのギブソンに装着されていた非常に人気の高いものと交換されていた。だから、音がものすごく太い!)
1980年代半ばでギブソンSGを弾いているミュージシャンは、アンガス・ヤングかフランク・ザッパしかいなかった。そのくらいレアなギターだった気がする。

 ギブソンの仕上げは、フェンダーと比較しても工芸品のような趣がある。バイオリンのように流れるようなセットネックは、見ていてもため息が出てくる。色合いもしかり。
加えて、ハムバッキングから出される音の太さは、骨太なロックに必要不可欠である。どこまでも艶やかにのびるサスティンサウンドは、芸術的だ。

 各社一長一短あるが、弾きやすさと音の作りやすさで行けば、私はフェンダー系よりもギブソン系のギターの方がしっくり来る。
特にハイポジションでの演奏に関しては、絶対にギブソンである。しかも、総じてパワーがあるので、バンド演奏でストレスが溜まらない。フェンダー系の軽い音について好きだった時期もあるが、「好き」と「できる」では大違いなのだ。どうも自分でプレイするような音ではないなと最近思い始めている。

 先日のOB会の演奏会でフェンダー系人口とギブソン系人口を比べるとなんとギブソン系のギターを弾いていたギタリストは、エレキギタリスト11人中たった3人である。
ストラト、テレキャスに押されギブソン勢は少数派である。まるで大敗した自民党のようだ。
今度何かあるときは、レスポール持って行っちゃおうかな・・・と思う今日この頃である。
 
2008年8月6日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-26 08:16 | 音楽コラム | Comments(0)