音楽雑文集


by yyra87gata

阿久悠さんとヒットパレード

 
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 作詞家の阿久悠さんが亡くなった。昭和を代表する名作詞家ということは紛れも無い事実だが、彼が生前のインタビューでとても興味深いことを言っていた。
「最近の歌はとても個人的な歌が多いですね。日常といってしまえばそれまでですが、誰もが共感を持てる歌が少ない気がします。私は、万人が口ずさめる歌を念頭に詞を考えていることと、意外性というんでしょうか・・・。この歌手にこんな歌を歌わせてみたい、なんて思いながら詞を作るんです。」
 
 特に阿久悠さんは職業作詞家だから、シンガーソングライターの作る詞とは違うのかもしれないが、阿久さんのコメントの意味は痛いほどわかる。
なぜなら、昨日阿久悠さんの追悼番組をテレビで放映していたが、そこでオンエアされる作品のほとんどを私は歌うことができたからだ。
五木ひろし、郷ひろみ、ピンクレディー、岩崎宏美、ジュリーなど70年代から80年代にかけての流行歌のほとんどが阿久悠さんのペンによるものだ。
流行歌という言葉を最近耳にしないが、阿久さんが亡くなったことで、この言葉も封印されてしまうだろう。
 別にシンガーソングライターの書く詞について、ここで良い悪いの判断をするのではなく、全然別物であると言いたいだけだ。
「この社会で生活しているなら、曲を書くときにそのことを反映させるのは、ごく自然なことなんだよ。」 ・・・ポール・サイモン
そのこととは、時代のこと。つまり、公民権運動やベトナム戦争が盛んな頃に人権のことや反戦歌が歌われることは自然だし、今だったら地球温暖化やテロに対することについてミュージシャンが作品にすることは自然なことなのだ。シンガーソングライターは、誰に向けて歌を歌うのかが重視される。
 先にも書いたが、決して流行歌とシンガーソングライターの書く詞を比較しているのではない。全然別物だからだ。
しかし、昨日のテレビを観る範囲で言うと、私は阿久悠さんの詞を流行のメロディにのせた流行歌で非常にリラックスできたし、良い曲が多いことを再認識させられた。
 阿久悠さんの作詞術は、ほとんどの作品が曲先行らしい(森田公一さんの時は詞が先らしいが)。
曲を聴きながら口ずさめる言葉を選び、シンガーのキャラクターに対比させながら意外性のある言葉を組み立てて行くのだろう。
もちろん洒落もたっぷり効いていて、昭和31年のヒット曲「若いおまわりさん」のアンサーソングでピンクレディーの「ペッパー警部」を書いたことは有名な話。
“も~し、も~し、ベンチでささやくお二人さん”(若いお巡りさん/作詞:井田誠一/歌:曽根史郎)
“ペッパー警部、邪魔をしないでぇ~”(ペッパー警部/作詞:阿久悠/歌:ピンクレディー)
ちょっと強面で、「スター誕生」(NTV)での辛らつな審査をしているキャラクターからこんな洒落っけのある歌が出るかとおもうと、懐の深さを再認識せざるを得ない。
 昨晩は、昭和のヒットパレードを堪能した。
 今朝、新聞を開くと一面広告で「阿久悠全集 CD14枚組」が掲載されていた。
昨日見た歌の数々が収められている。商売上手いね。 買いたくなったよ。

2007年9月13日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-26 08:20 | 音楽コラム | Comments(0)