音楽雑文集


by yyra87gata

拓郎の全国ツアー撤退について

 拓郎が全国ツアーから撤退。来年1年をかけて全国を廻り、その後は歌いたいときに単発でステージに上がるという。
先日のラジオで本人は、
「全国ツアーをやっていて、同じクォリティの演奏を見せることができなくなってきた。ステージによって調子の良し悪しが出てしまうことは、お金を払って見に来てくれるお客さんに失礼だ」と。
 昨年、拓郎はツアー中に倒れた。それでも騙し騙し公演を続けていたが、ツアーの半分もできずにツアー自体が中止となった。その理由として肺がんの後遺症や加齢によるもの、鬱病など拓郎にさまざまな憶測が飛んだ。
 私は2006年のつま恋直後のツアー、日本武道館のステージで拓郎の言うコンサートの良し悪しをすでに感じていた。当時のコンサートレビューでも書いたが、拓郎は2時間のステージがきつそうだったのだ。声が思うように出ず、音程が合わなくなってきていた。贔屓目に見てもラスト3曲は作品の良さに助けられただけ。全然歌いきっていなかった。
しかし、拓郎の私設ファンサイトのBBSにおいて、盲目的な拓郎ファンは「最高だ」「肺がんだったなんて信じられない」などの美辞麗句を並べ立てていた。
私はそのBBSにあえて正直な気持ちを書いたが、狂信的なファンは根拠も無い思い込みだけのコメントを返してくるし、今まで騒いでいた何人かは私の意見に痛いところを突かれたようで押し黙った。もちろん私に賛同してくれた方もいらっしゃったのだが、さっさと話題を変えようとする連中が多いので、その後その仲良しクラブ的なBBSに書き込みすることはやめた。
 拓郎のことを本当に思うのであれば、あのコンサートの美辞麗句を書き並べるよりも2006年時点で体を再度作り直すことをみんなで提言すべきであったのだ。なんでも、拓郎はそのBBSを見ているという噂もあったし、それこそ事務所にコンサートの感想を送ってやればよかったのだ。私は送ったけどね。
62歳の男が数千人の前で3時間近く歌い続けるということを、見ている人間はもっと理解すべきだったのだ。
小田和正が60歳で元気に全国ツアーができるのは、彼自身のストイックさにより日ごろから体力作りをしているのだと思う。また、私は偶然にもツアー前の矢沢永吉に出くわしたことがあるが、全身を覆うナイロンジャージを被り、汗だくになってロードワークをしていた。こういった努力の賜物があのハードなステージを展開できるのだと思う。
また、ミック・ジャガーがいまだにスタジアムライブで走り回って歌えるということは、あの腹筋を見ればわかるものだ。(彼はワンステージで20km歌いながら走ると言われている)
 歌は芸術であるが、歌うことは体力である。
「君たちはいいよねぇ。座って観ていられるんだから。ここは暑いよぉ。ライトがバンバン当たるし・・・そんな中でオレ歌ってるんだもん・・・」(2006年武道館)
このMCはしっかり歌いきれている人間が言って初めて格好好いものなんだよ。拓郎君!当時私は相当がっかりしたものだ。また、このコメントを笑い話として受けていたファンよ。2007年の不甲斐無いステージを晒した拓郎を作った責任の一端はあなたたちにもあるのだと言いたいね。
「最近は歌の上手い歌手が大勢いる。(中略)俺は歌は上手くないけど、歌に魂を入れている。これだけは誰にも負けないと思っているんだ」(1979年武道館)
頼もしい言葉だったねぇ。もちろん拓郎も若かったということもあるだろうが、こういう心理は潜在意識からくるものだろうし、私は当時の本音であると信じたい。
しかし、体力と気力は違うものだし、まして人の前に立つ人間であればなおさら表現することについて深く考えていかなければならないのではないか。
 
 今回の拓郎の決断について私は正直寂しいが、受け入れるしかないのだ。ファンだからね。そして、ファンだから拓郎が死ぬまでファンなんだろうな。
来年の全国ツアーも行くだろう。文句を言いながらも見るんだろうな。
最後にファンのあり方について・・・今後ファンを名乗るのなら無責任な応援はやめたほうがいい。いいものはいい、悪いものは悪いと言えることが本当のファンなのではないかい。
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2008年9月11日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-26 14:19 | 音楽コラム | Comments(0)