音楽雑文集


by yyra87gata

『ライブ飛車角』  飛車角

 私はいろいろな楽器をやってきた。エレクトーンに始まり、ドラム、ギター、ベース・・・中学生の頃は音楽の授業でトランペットもあったが、どうも唇がマウスピースに合わなくてユーホニュウムなんて楽器に回されたこともある。また、ギターといってもエレクトリックとアコースティックではぜんぜん違うし・・・。
楽器を始めるきっかけって様々だが、始めてから上手くなるまでの(楽器を面白いと思うようになるまで)間ってかなり重要で、ここで間違った方向に行くと偏った技法になったりする。だから基礎を学べって言うんだろう。
 前に書いたかもしれないが、私はエレキギターを本格的に始めたのは大学からで、殆どよくわからないまま「エリック・クラプトン奏法」という本を見ながらフレーズを覚えた・・・つもり。また、本人のレコードやビデオなんかを見ながら一緒に弾いたりもしたが、いまいち共感できないでいた。つまり、相手がでかすぎちゃって違う星の人に見えたのかもしれない。
 そういう意味で言えば、私には好きなミュージシャンは星の数ほどいるのだが、自分の音楽演奏について影響を受けた人というのは皆無で(人から似ているといわれたことは確かにあるよ・・・鈴木茂さんとか・・・)、一番影響を受けた人は実は身近な人だったりする。
例えば、ギターについて言えば一番私が影響を受けたのは大学の先輩であったり、友達であったり・・・。自分と同じ歳の人間が何でこんなにいい音を出すんだろう・・・なんて単純に思ったりしてね・・・。
だから、間近で見る友達の指使いなどは食い入るようにして見ていた。ドラムもしかり。友達がさばくスティックの動きを見ながら自分の頭にそれを焼きつけていた。
そんな私が影響を受けた「友人ギタリスト」のバンドが飛車角である。
もともとはアコースティックギター2本のやかましいデュオだったが、いつしかバンド編成になり、もっとやかましくなった。
 
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 そんな彼らのデビュー盤が『飛車角ライブ』(2003)だ。
彼らはとにかくライブが良かった。
この「良かった」というのは、現在彼らは活動を休止してしまっているのであえてこの言葉を使ったのだが、とにかく「男」のライブバンドだった。
毒を吐くようなシニカルなフレーズもあれば、プロテストな内容を独特のグルーヴで押し切ることもする。新田真也の描く世界はどこか世の中を達観し、「ふざけんなよ」という鋭い視線を向けている。そんな、尖った無骨な言葉をアレンジし、音楽的にしているのがギターの小澤祐介である。
私はこの小澤のギターが大好きである。思いっきり弾いている彼のギターが大好きである。
アコースティックを弾いてもエレクトリックを弾いても同じテンションで弾きまくる。
きっと彼ならアコースティックをエフェクター無しで歪ませることができるだろう。
 私がエレクトリックからアコースティックにギターを持ち替え、活動を始めたとき・・・、弦の硬さに苦労し、なるべくテンションの弱いオベーションを使っていたとき・・・、彼はギブソンのJ50DXをかき鳴らしていた。しかもマホガニーのそんなに高価なギターでもないそのギターが悲鳴を上げるように鳴り響いていた。そんな彼の弾き方を見て、私は感動し、アコはこうやって弾くんだという気持ちになったものだった。
それから、私はギターをテンションの強いマーチンに持ち替え、どうやったら「箱鳴り」するかといった音の探求に励んだのだ。もちろん、他にもアコースティックを上手に弾く友達が何人かいて、彼らの演奏も食い入るように見ていたから、私は自分のスタイルというものをどこに持っていくかを模索し続け、現在に至っている。モノマネから入ることはとても重要だが、それに終わるとそれだけになってしまうからね。小澤くんのコピーになってもねぇ~。

 さて、小澤くん・・・今は冬眠中だが、いつ目覚めるのだろう・・・。
彼とは数回一緒にバンドを組んだことがあったが、それは結婚式での生演奏バンドだったので(イベントバンドですわ)、音楽を追及するというものではなかったが、彼のリハの真面目さと本番での大胆さにかなり驚かされたものだった。
ちなみにそのバンド・・・九州・小倉でのステージでお互いに立ち姿を見て笑ったこと・・・彼はギブソンのエクスプローラーを下げ、私はギブソンのSGをぶら下げている。そして、演奏する曲は「結婚行進曲」に始まり、余興ではピンクレディから「君の瞳は10000ボルト」、最後には和太鼓との競演で北島三郎の「祭」をしっかりツインリードで決める。
いくらなんでもエクスプローラーとSGの組み合わせってないだろ・・・もうちょっと考えたほうがいいんじゃねえの・・・なんてお互いに言ってたなぁ。でも、このバンド、懲りずにホテルオークラでも演奏したんだっけ・・・。

 変な思い出話だが、さてさて・・・飛車角が再起することを願いつつ・・・。
現在では小澤の張り切った演奏を聞くことができる音源は『ライブ飛車角』とセカンドアルバムの『雲と泥の間』(2008)だけである。両方とも骨太なロックアルバムであるが、生の息吹を感じるなら滅茶苦茶オーバードライブしている『ライブ飛車角』を推す。

2012年1月13日
花形
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by yyra87gata | 2012-12-27 16:09 | アルバムレビュー | Comments(0)