音楽雑文集


by yyra87gata

ディズニーでバイト!

 
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 東京ディズニーランドが今年30周年だそうで・・・。そこで私のディズニーでのアルバイト体験を書いてみようと思います。学生時代の話なので時効の部分もありますし、これは、以前書いた雑文なのでちょっと稚拙な表現もありますが、ご勘弁。

 私の大学時代、ロン毛の兄ちゃんは肉体労働系のアルバイトしかありませんでした。
かく言う私もごまかしながら勤めてきたコンビニのアルバイトは、ロン毛のため辞めることになりました。そして、肉体労働のアルバイトや投薬のアルバイトなど体にムチを打ちながら小銭を稼いでいた時、ある先輩に声をかけられました。いい稼ぎのバイトの話。その金額を聞くと時給換算で肉体労働の1.5倍から2倍の金額でした。・・・しかしその時先輩は、バイト内容を教えてくれませんでした。私はちょっとだけ悩みましたが、ギターも買ったばかりだったので、即答しました。
その先輩は、暴力的でもないし、助平な人でもない、増してや裏の世界に通じていそうも無かったのでバイトもきっとチョロイもんだと判断したのです。そして即行動となりました。
連れて行かれた場所は何の変哲もない事務所でした。雑然とデスクが並び、銅線や妙なスイッチボックスが転がっていました。事務所の脇には「火気厳禁」と書かれたダンボール箱が積み上げられています。なにやら怪しい雰囲気。

 その事務所には若い兄ちゃんばかりがたむろっています。腕に刺青を入れた丸坊主の人もいました。
そして、一番年長で一番体のでかい人が、周りを見渡してから話し始めました。
「●●くんは山梨の工場でブツもらってきて。」
「○○くんは××さんと一緒に△△△の石切り場に仕掛けに行ってきて。失敗しないようにね。一発でぶっとばさなきゃだめだよ。」
「■■くんは今日連れてきてくれた彼(私のこと)と一緒にオレに付いて来て。ディズニーに行こう。」
私はちんぷんかんぷんになりながら、先輩と一緒にでかい人の車(ジープ)に乗り込みました。

 でかい人が話しかけてきますが、ジープのうるさい音で何を言っているかわかりません。しかも独りで話して独りで笑ってしまうので、こちらも引きつって笑うしかありません。
ジープは浦安出口を下り、ディズニーランドに入っていきます。男3人、ディズニーランドで何するんだ・・・と思っていたら。裏口から入って、東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドという会社に到着しました。
そこで、先方の企画部の人とショーの打ち合わせが始まりました。
私は、ディズニーで働くのか?

 ショーの打ち合わせを聞いていると、謎が解けました。私は仕掛け花火を操作するアルバイトをするのであります。
先ほどの事務所は、花火屋さんであります。
その花火屋は何代も続く老舗の花火屋で、いろいろな場所で活躍していることも後で聞かされました。
夏の花火大会はもちろん世界中の花火大会に出場しており、変わったところでは「とんねるずのみなさんのおかげです」での仮面ノリダーのロケ(爆発ものが多い)やディズニーランドの打ち上げ花火やアトラクションで使用する仕掛け花火も請け負っているとのこと。
花火のバイト・・・そりゃ危険ですから時給が高いのも当然であります。
しかし、話を聞いていると昔ながらの火を導火線に点けるというような花火ではなく、仕掛け花火でも爆発する玉でもすべて銅線を引いて電気スイッチで点火していくものであります。だから、曲に合わせてタイミングをみて点火することができるのであります。
効果としての花火は、音楽や演劇台本と一体となっていますので、ただボタンを押せばいいというものではありません。音やライティングとのタイミングもあるので、けっこうコツがいるものです。
 私は、シンデレラ城前の広場で行なわれるミッキーマウスショーの仕掛け花火の担当になりました。
先輩とでかい人は毎夜8時くらいから打ち上げている定例の打ち上げ花火係になりました。
 楽譜や台本を見てスイッチングをするのであれば、まぁ慣れれば大丈夫かな、なんて思っていましたら、オリエンタルランドの方がにっこり笑って、
「ディズニーランドで働くのであれば、均一に研修を受けていただきます。もちろんユニフォームもお貸しいたしますので、●月●日の研修にご参加ください。」
先輩の方を見ると「俺たちはもう受けているから、がんばれな。」

 後日、研修会場に入ってびっくりしました。みんなディズニーランドで働くことに前向きで、目をキラキラ輝かせているからです。私のような仕方なくやってきた、という人はいなかったのでは・・・。
 研修は、ディズニーの哲学や接客に関するイロハをロープレ形式で行いました。笑顔の練習、発声練習など非常に実践的におこなわれたので、その後私が社会人になってからも役立つことがありました。
休憩時間中、いろいろな方が話しかけてきます。みんな社交的だなぁと思いましたが、きっと私が浮いていたから興味本位に声をかけただけかもしれません。だって他の男子と比べ明らかに薄汚いし、やる気はないし・・・。
彼らの話を聞いていると、働く場所で時給は違うようで、仕事内容と見合っていなくてもディズニーで働けるからガマン、なんてこともあるようです。
私もどこで働くのかとか、いくらもらえるのか、なんてことを聞かれましたが、適当にはぐらかしていました。だって、私はオリエンタルランドから金をもらうのではなく、花火屋さんから頂くからであります。正直言って彼らの時給の倍以上あったので、そんなこと言ったらマズイ雰囲気になるかな、と思ったのです。

 さて、バイトです。
ショーは1日3回。そのうちの2回を私が担当することになりました。授業を終え、西武池袋線、JR、東西線と乗りついで、浦安まで。浦安からバスです。ホント、京葉線舞浜駅なんて無かったから、とても遠かった印象があります。また、帰りも海からの吹きっさらしの風の中でバスを待つわけですが、ディズニーランドが閉園した後なので誰も歩いておらず、閑散としていてとても寂しい。しかも「オリエンタルランド前」なんてバス停から乗る人なんてその時間には誰もおらんのです。
そんな行き来をかなり続けました。
 肝心の花火ですが、これがまたタイトスケジュールなのであります。
1回目のステージの仕込み時間はそこそこあり、順序どおり仕掛けていけば15分くらいで終わります。
しかし2回目のステージのための仕込みは、舞台で直前まで他のアトラクションがあるので、インターバルが約20分しかありません。だから、メチャクチャせわしないのです。
 仕込みは舞台の下にもぐりこみ、懐中電灯をたよりに火薬と銅線を這わせていきます。火薬の種類と銅線の配線を間違えるとショーがメチャクチャになるので慎重であります。また、大仕掛けの花火もあり、天に伸びるポールの先にマグネシウムの花火をくくりつけることも忘れてはいけません。
もう、慌てふためきながらセッティングを終了すると、すぐにアトラクションが始まるなんてこともザラでした。
本番は、タイミングを見ながらスィッチングです。カチッという音とともにバーンと火花が光ります。お客さんは(ディズニー用語ではゲスト)、ヒャーとかウォーとか反応しながらミッキーに見入ります。
フィニッシュは、ミッキーが剣を高く上げるとき、後ろにあるオブジェのポールが5mくらい火花を散らしながらせり上がっていきます。火花が飛び散りながら、勇壮なミッキーがポーズをつけて終了であります。お客さんが退散したところを見計らって、仕掛けた花火の処理(水をかけたり、くず拾いをしたり)をしてバイトは終了です。
 くたくたになりながら歩いていると、よくお客さんに声をかけられます。
道案内からカメラのシャッターを押すことまで、なんでも笑顔で対応しなければなりません。たまに迷子に遭遇すると、重たい花火の荷物を持ちながら迷子センターまで一緒に行くことになります。子供は泣いていて、ミッキーのシールぐらいでは泣き止んでくれません。私は重くて泣きたいし・・・。

 花火のバイトは、その後もしばらくやっておりました。
そういえば、ディズニーランドの12月31日深夜のカウントダウンイベントの花火も打ち上げたことがあります。
12月30日の夜にリハーサルを行います。流石に真夜中に打ち上げることはしませんが、セッティングから撤収まで実際の流れを行なうのですが、その時にある事件が起きました。
ちょうどその年は昭和天皇のお体の具合が悪いということで世間的にすべてが自粛ムード。ディズニーランドも打ち上げ花火は取りやめとなりましたが、とてつもなくでかい「ナイアガラ花火」を仕掛けることになりました。それはシンデレラ城を中心として左右に20mくらい花火の滝が落ちるものです。
12月30日23時59分。カウントダウンのリハが始まりました。
私と先輩は「ナイアガラ花火」の近くで待機しておりました。
3、2、1という声とともに点火です。本番と同様にタイミングを合わせ点火。ザーッという音ともにナイアガラの滝のような七色の火花が一直線に伸びます。
シンデレラ城が七色に輝き幻想的な美しさでありました。みんな拍手をして盛り上がっています。
すると誰かが叫びました。
「火が!城に!」
よく見ると、飛び散った火花がシンデレラ城のお堀の下に位置する壁に燃え移り、くすぶっていました。
「消火器!水!消防車!」 怒号が飛び、一時は騒然としました。
するとすぐにカンカンカンと音を鳴らした赤い消防車が到着。でもその消防車はディズニーランドに設置されたもので、鐘を鳴らしているのはミッキーの人形ですし、妙にクラシカルな消防車だったのです。こんなんで消せるのか?なんて思っていたらシュバーッという音ともに勢いよく放水を始めました。そして、すぐに火は消えました。
ディズニーの人たちと花火屋さんの偉いさんがいろいろと討議しておりましたが、バイトの私たちはミッキーの消防車をガチャガチャいじっておりました。これが妙に可愛いのであります。

 翌日、本番。夕方ごろディズニーランドに入ると、昨日のボヤ騒ぎはどこ吹く風。城もきっちりと修復されておりました。さすがぁ~。
カップルや家族連れが楽しむ中、我々は黙々と仕込みを行ない、昨日の反省点を想起しながら本番を迎えました。
そしてカウントダウン。
シンデレラ城から流れる花火の滝が幻想的に映えます。
何事も無く花火は終了しました。

 花火のバイトは、ディズニーランドで約1年間やりました。
アトラクションの仕掛け花火がメインでしたが、たまにやる打ち上げは気持ち良かったですね。
 それからディズニーランドでバイトしたことで覚えていることは、食事が美味しかったことです。
スタッフ専用の休憩所が園内に3箇所くらいあり、そこで食べることができる食事が美味しかったです。これを園内で販売したら3倍から4倍の値段を取られるのではないか、というくらい安かったですし・・・。
そういった意味でも、本当にスタッフに対してもサービスが行き届いた立派な施設だと思います。
 その休憩所では、いろいろな光景にも出くわしました。ショーダンサーが夢を語りながらパスタを食べていたり、パレード直前のダンサーはダンスの振り付けを最後までチェックしていたり・・・。中には上手くダンスが踊れず悔し涙を流しながら笑顔を作って練習をしている人もいて、ミュージカル映画さながらの光景でありました。そういった前向きな光線がいっぱい出ている人たちだからこそ、人を楽しませることができるのでしょうね。
私にとってけっこう良い思い出のアルバイトでした。

 ディズニーランドに遊びに行くとそういったスタッフたちの目線で彼らのもてなしを見てしまうこともあるので、楽しいこともさることながら、暖かい目で見てしまう自分もいます。
最高のサービスを提供する夢の世界ですな。

おわり (2008年の記述)

2013年1月4日
花形
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by yyra87gata | 2013-01-04 12:04 | その他 | Comments(0)