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音楽雑文集


by yyra87gata

岡村靖幸 LIVE TOUR 2014 将来の夢

 もうそろそろ書いてもいい頃か。
2014年4月6日から全国ツアー「岡村靖幸 LIVE TOUR 2014 将来の夢」がスタートし、5月4日のZepp DiverCity TOKYOの公演を観戦した。
全国ツアーといっても追加公演(赤坂BLITZ)を合わせても6ヶ所8公演だから本当に見ることができてラッキーであった。
 実は私、岡村靖幸のライブは1996年の日本武道館以来18年ぶり。生れた子供が高校を卒業しちゃうくらい長い年月、彼を生で見ていなかった。
それは、彼が活動年月のわりに寡作なミュージシャンであるということにも起因しているし、アルバムを制作してはプロモーションツアーを行なうそれとは一線を画しているからということもある。そして、何より例の刑事事件もあり、中々そんな状況でもなかったということもあるのだろう。
今回のライブも、私はたまたま会社の休み時間にネットで“eプラス”のサイトをぼんやり見ていた中で見つけたもので、彼が最近社会復帰してアルバムを制作したり、イベントやライブツアーを行なっているということなど全然知らなかったのだ。
懐かしさという感情と同世代のミュージシャン(生れ年は一緒)が、また再起しているんだということ、そしてなにより、彼の天才を再確認するために購入ボタンをポチッと押してしまったのだ。
 
 岡村靖幸を知っている人は、「良い、最高、天才!」という人と、「きもい、生理的に合わない、プリンスの真似じゃん」という人に大別される。
どっちがどうかということではなく、こういう大別をされるミュージシャンは・・・実は大物ということを私は言いたい。
そこらへんの曖昧な音楽をやって悦に浸っているアホミュージシャン、全国の皆さんに愛される音楽を作りますよ~なんて言って、また、それを真に受けて聞いているアホ共に岡村靖幸は理解されないんだろうなとつくづく思うのだ(どっちがどうかって言ってるか!)。
まぁ、生理的に合わないと言われたら元も子も無いのだが、ミュージシャンとしてぶっ飛んでいるというところだけは理解していただきたい。

 さて、ライブ。
とにかく笑いが止まらなかった。音がでかい!マニュピュレーターを通じて組み上げられた岡村ワールドを構成する音の粒がスピーカーから溢れ出る。それに合わせてドラムやベース、ギターが世界を広げていく。トランスワールドの世界に入り込むくらい音がでかく、サンプリングの音の洪水に溺れそうになる。でもそれが快感へと変るのだから、もう大変。男はアドレナリンを放出、女はスプラッシュすること間違いない。
岡村靖幸は、そんな音の洪水を身振り手振り、体全体を使ってオーケストラの指揮者の様に音楽を操る。全ての音を把握している彼は、その一挙手一投足がすべて音のキメとなり、それはまるで彼の身体から音が排出されているかのようなパフォーマンスを行なう。
笑いもしない、MCもしない。とにかく、パフォーマンス中の彼はその歌の世界に生きる言霊そのものとなる。

 彼は来年で50歳。
その50歳になろうとしている少年が臆面も無く青春ソングを歌う。青春の郷愁を歌う。女の子にもてたい!と歌う。ここが彼の真骨頂だ。
以前、チューリップの財津和夫は「チューリップの歌は皆さん(ファン)の青春ソングだから、60歳を過ぎた僕らが歌うことが果たしていいのかどうか・・・」と言うことを悩み、解散を決意したコメントを発表した。
岡村靖幸にはそんなことは一切ない。
いつだって彼は、バスケットボール部だし、家庭教師だし、ベランダに立って胸を張っている、と声高々に歌うのだ。切ない恋を、あからさまな愛を、真正面から歌うのだ。そしてそこには何の衒いもなく、最終的にエロくなってもそれは男と女の自然の流れでしょ、とお構い無しにプッシュしてくる。
もう、ナルシストの度を通り越してあそこまで行くと天才としか言いようがない。
例えば、及川光博(ミッチーなんて言っちゃってさ)、GACKTとかって、ナルシストなのか色モノなのかわからない2人だが、私から見て彼らはその色モノを演じている気がするわけ。本当の色モノは自分を色モノと思ってないからね。だから私は彼らを岡村靖幸の亜流としか見えないのだ。そして、岡村靖幸はいつだって孤高だ。あのキャラは誰の真似でもないし、天然モノだからだ。

 相変わらずライブは、岡村靖幸の変なダンスとゴージャス過ぎるファンクチューン。格好なんてつけているのではなく、彼のパフォーマンスはいつだって彼独自の岡村ワールドを正々堂々と展開している。
例えば、「あの娘ボクがロングシュート・・・」なんて、中年の私でも鳥肌立つくらい格好よかったもんな。
とにかく、日本の現ポップスのメソッドを作り上げたミュージシャンの1人だと思うし、音の魔術師はCDでもライブでもハイクォリティのアウトプットを約束してくれるのだ。

 1980年代にティーンエイジャーだった男は今、働き盛り。
業界のあちこちで実は岡村ファンは存在していて、テレビ番組やラジオ番組、映画の挿入歌など彼のアルバム『家庭教師』から引用される率は非常に高い。
ライブを見ていても、岡村靖幸は、いかした女、ダンサブルな男、老若男女、素人、玄人・・・幅広いオーディエンスに向かって・・・
「ぶーしゃからからか!」って叫んでる。
「ほうをうおうおーっ!」って雄たけびを上げている。

 
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 ラストの「Out of Blue」で、不覚にも泣きそうになった。
音楽は自分史を投影することがある。岡村靖幸の歌で自分の人生が変ったとは言わないが、
学生時代のほろ苦い思い出や楽しい思い出がオーバーラップしたのか・・・。
アレンジも当時のライブのまま。それが良かった。
岡村靖幸のライブは、何かを思い出しに、そして何かを探しに行く場なのかもしれない。
Commented by toku at 2014-05-27 09:20 x
ハゲ同!
Commented by yyra87gata at 2014-05-28 00:14
ありがとうございます!
by yyra87gata | 2014-05-26 21:44 | コンサートレビュー | Comments(2)