音楽雑文集


by yyra87gata

ローザ・ルクセンブルグの衝撃

 
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 ローザ・ルクセンブルク。ポーランド出身、ドイツで活躍したマルクス主義の政治理論家で、革命家でもある。1918年のドイツ革命期において機関紙「赤旗」を発刊し皇帝時代に言われ無き罪で捕まった政治犯の特赦や死刑の廃止を訴え続けた。その後、仲間とドイツ共産党を作り上げたが、極右勢力であり、後にナチスに変革する団体であるドイツ義勇団に逮捕され、惨殺されている。
彼女は革命半ばにして命は潰えることになるが、最後まで自由を訴え続けた。

 1984年、NHK「ヤング・ミュージック・フェスティバル」に登場した奇抜な格好の4人。テロップには「ローザ・ルクセンブルグ」とあり、「ルクセンブルク」では無いのかと思ったのもつかの間、ファンキーな音がブラウン管から解き放たれた。
土着民の歌う労働歌にも聞こえるし、交尾のために雄が雌を挑発するような獣のようにも聞こえる。しかし、歌っている内容は中国人のことを歌っている・・・。
こんなインパクトはRCサクセションの清志郎が化粧して「愛しあってるか~い!」って久保講堂で叫んだ時に等しかった。
 その光景は音と共にただただ奇抜に映り、私の脳裏に日光写真のように焼きついた。
1986年に2枚のフルオリジナルアルバムが出た。2月にファーストアルバム『ぷりぷり』、12月にセカンドアルバムの『ROSA LUXEMBURG II』を発表。そして、翌年の8月にはあっさり解散してしまった。
ヴォーカルの久富隆司(以下どんと)とギターの玉城宏志の音楽性の違いが原因と言われているが、そんなことは本人だけが知っていることだからここでは語らない。
どんとの描く世界は抽象的の中にピンポイントで言いたいことを鋭く突くという特徴がある。ちょっと聴いているだけでは仮の歌詞なのではと思うほど意味不明な言葉が並ぶこともある。リズムに旋律をつけているような自由な発想。きっとそんなところを矢野顕子や細野晴臣は高評価し、彼らをプロの世界にいざなったのだ。
そして、どんとの自由奔放なキャラと玉城のハードロックギターがケンカをしながら音を紡いでいるところに彼らの魅力があった。そのバンドを見過ごしたこと・・・解散を聞いた時の私の落胆はとても大きかった。ライブに中々行けず、もっぱら彼らの2枚のアルバムを聴いて過ごす日々が続いた後でのいきなりの解散宣言。その解散は「宝島」で知ったのかそれとも「ロッキング・オン」だったか・・・。

 解散後のどんとの動きは早かった。その年の11月には新バンド「ボ・ガンボス」でデビューライブを披露している。ガンボとはアメリカ南部のごった煮スープのことで、どんとの様々な音楽の具が詰まったごった煮スープのような個性溢れるバンドとでもいうのか・・・。
 その後、彼らを日比谷野音で観る機会があったが、そこにはローザ・ルクセンブルグの持つ緊張感は無かった。どんとの自由な世界が繰り広げられ、観客一体となったある種コミューンのような雰囲気に包まれていた。
 私がローザに衝撃をくらったあの時から時間も経ち、環境も考え方も変わった中で欲している音はどんどん変化していく。だからそのライブで私は少々戸惑ったことは事実だが、受け入れるか受け入れないかは自分で決めればいい話。
 ボ・ガンボスは成功を収め2000年1月にどんとが急逝するまで独自の道を走り続けた。

 約30年前のローザ・ルクセンブルグをターンテーブルに乗せると、あのNHKの衝撃が思い出される。オリジナリティとテクニックが融合したすごいアマチュアだった。
私は忘れることはないだろう。
音楽という思想は、人それぞれの中に存在する。もちろんローザ・ルクセンブルグもボ・ガンボスも・・・。
ローザ・ルクセンブルクの有名な言葉
「Freiheit ist immer die Freiheit des Andersdenkenden.(自由とはつねに、思想を異にする者のための自由である)」
 
 この思想がローザ・ルクセンブルグにもボ・ガンボスにも息づいているに違いない。
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2017/03/29
花形
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by yyra87gata | 2017-03-29 18:47 | 音楽コラム | Comments(0)