音楽雑文集


by yyra87gata

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「流星」 吉田拓郎

 私のiPhoneにダウンロードされている曲が2曲ある。
そのうちの1曲は吉田拓郎の「流星」である(もう1曲はまた別の機会に紹介する)。
なぜ私がこの曲をダウンロードしてまでiPhoneに入れ、いつでも聴くことができるようにしているか。
単純に好きだからなのだが、単純に楽曲が好きということもさる事ながら、この作品、私のアレンジの基本となっているのだ。
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 「流星」は想いを馳せる男と流れる星の儚さ、そして男の内省的な部分を拓郎の朴訥としたヴォーカルが重く、ドラマチックに仕上がっている作品である。
そして、歌詞も抽象的な表現が多く、歌詞だけをただつらつらと目で追っていってもなかなか意味が通じない。しかし、それが詩的であり、男の呟きとも取れる内容だが、ミディアム8ビートのグルーヴで聴くとグッと胸に入りこんでくるのだ。
アレンジャーは鈴木茂。
ピアノとハモンドが随所に印象的な響きを奏でる。松任谷正隆の真骨頂である。
また、ストリングスを多様したサビへのブリッジは、楽曲をドラマチックに盛り上げており、非常に参考になる手法だ。
 鈴木茂による8小節のギターソロがあるが、このソロが秀逸。トリッキーなプレイはひとつもなく、伸びやかにメロディアスなフレーズが駆け巡る。
流れるようなストリングスをバックに、時に呟き、時に吠える拓郎のヴォーカルも秀逸である。
「流星」は、拓郎のペンによる歌詞。明らかに彼の生活が切り取られている。
ここで、全ての歌詞の解説は無粋ではあるが、明らかに1度目の離婚劇とたったひとりの娘を想うひとりの男の姿が読み取れる。
そして拓郎らしい歌詞が随所に見ることができる。
「静けさにまさる 強さは無くて 言葉の中では何を待てばいい」などは緊張感のある空気感を表現し、その後の「たしかな事など 何も無く ただひたすらに 君が好き」につながる。
これは前妻のことか愛娘のことかは不明だが、明らかに男の想いを表現している。
2番ではあることでつまずいた男は孤独と共に星を数える男になる。
「心をどこか 忘れもの ただそれだけで つまはじき」とあるが、
「幸福だとは 言わないが 不幸ぶるのは がらじゃない」と強がる。この切り返しが女々しくならない男の歌なのだ。
 非常にメロディアスではあるが、強い意志を持っている歌詞なので、そのギャップが心地良く、ただ黄昏れるだけでなく、そこに自問自答しながら前に進んでいく。
 詞、曲、アレンジ、歌唱・・・どれを取っても非の打ち所がない。
優しさの表現が稚拙になり、日記みたいな歌詞ばかりの昨今、男らしい歌が少なくなった。
高倉健が死んだ時、ふと「流星」が頭に響いた。
だからつらつらと書いてしまった。


「流星」
たとえば僕がまちがっていても
正直だった悲しさがあるから……流れて行く
静けさにまさる強さは無くて
言葉の中では何を待てばいい……流れて行く
たしかな事など何も無く ただひたすらに君が好き
夢はまぶしく 木もれ陽透かす 少女の黒髪もどかしく
君の欲しいものは何ですか 君の欲しいものは何ですか

さりげない日々につまずいた僕は
星を数える男になったよ……流れて行く
遠い人からの誘いはあでやかで
だけど訪ねさまよう風にも乗り遅れ……流れて行く
心をどこか忘れもの ただそれだけでつまはじき
幸福だとは言わないが 不幸ぶるのはがらじゃない
君の欲しいものは何ですか 君の欲しいものは何ですか

流れる星は今がきれいで ただそれだけに悲しくて
流れる星はかすかに消える 思い出なんか残さないで
君の欲しいものは何ですか
僕の欲しかったものは何ですか
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2014年12月25日
花形


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by yyra87gata | 2014-12-25 18:29 | 音楽コラム | Comments(2)