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音楽雑文集


by yyra87gata

岡村靖幸とYouTube

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YouTubeという媒体はミュージシャン側からしてみれば厄介なものなのかもしれないが、音楽を検索する側からするとこの上なく便利なツールである。
CDショップに行かずして音楽が検索できるだけでなく、中にはレア音源などをアップしている方もいて得した気分になることもある。それが著作権法に違反しているかどうかはともかくとして、とにかくそのような流れがネットでは出来上がっていることは事実なのである。
さて、いつものように私はYouTubeに向かい、好きな音楽を検索していた。
すると約30年前の岡村靖幸のライブがアップされていた。1987年のライブで彼がまだプロのシンガーになって2年目の映像だ。
曲はデビュー曲の「Out of Blue」(1986)。
この曲、私には個人的な思いがあり、特別な曲だ。

当時大学生だった私が初めてラジオで聴いたこの曲。1986年の年末、岡村靖幸がラジオに出演していてなにやら妖しい雰囲気でこの曲を紹介していた。
ラジオなので映像が見えない分、新人とは言いつつ “ものすごい自信”と“世界を変えてやる”といった大それたことを真面目に語る彼に対しどんな人なんだろうと思いながら、興味を馳せた。
音楽はそれまで日本になかったファンクリズムと妙にメロディアスな楽曲がマッチし、私は彼の音楽の虜になったが、私の周りで彼を理解する人もおらず、1人ウォークマンを聴く日々が続いた。
その後はたまに出るTV(「笑っていいとも」にも出ていたのを見たことがある!挙動不審で異様な雰囲気だった!)で彼の動向をチェックするくらいでライブにも足を運ばなかった。なんせ、女性人気がすさまじく、気後れしていたのかもしれない。
ただ、音源だけは常に聴いていた。
そして、1989年4月発表のシングルCD「ラブタンバリン」で岡村靖幸に改めて開眼する事件が起きた。それは「ラブタンバリン」ではなく、そのカップリングで収録されたデビュー曲「Out of Blue」のライブヴァージョンを聴いたときだ。
このアレンジにやられたのだ。がむしゃらにオベーションを弾く岡村に分厚いバンドサウンドがかぶってくる。けっして安定しているリズムではないが、鬼気迫る演奏という表現が合うパフォーマンスがスピーカーから響き、私は何度もリフレインした。
重厚感のベースと鋭いギターカッティング。最後のサックスソロに至る盛り上がりは格別。どことなく親近感のわくソロだったということも気に入った要因のひとつだった。
その時から私の岡村靖幸のベストパフォーマンスとして記憶され、常にヘビロテのヴァージョンとなった。

時が経ち・・・
最近YouTubeで音楽を検索していると岡村靖幸にたどり着いた。そこには「Out of Blue」のライブが掲載されていた。
コレは、と思い再生。
音源は・・・あのCDシングルのまんまそのまま。ということは、あのシングルカップリング曲はこのライブビデオからの音源だったということがわかった。
そういえば、岡村靖幸のライブは何度か見たが、ライブビデオまでチェックはしていなかった。

さて、映像は順調に進む。私の好きなエンディングに向けてバッキングメンバーのパフォーマンスにも力が入る。グイグイ引っ張るベースと正確なカッティングを施すギター。
そして、決め手のサックスソロ。いつもウォークマンで聴いていたあの音源の画像がこんなに簡単に見れるなんて良い時代だと思いながら・・・

あれ?小島さん?
私が大学時代に最初に組んだ(入れてもらった)バンドのサックス奏者が岡村靖幸の横で吹きまくっているではないか。
ありゃりゃりゃ。一気に学生時代に逆戻り。なんで?え?そりゃそうだ、1年間ずっと小島さんのサックスを聞いていたんだ、そりゃ、岡村靖幸の曲だけどどこか親近感があったのはこのせいかよ・・・って。
片方の肩を落としながら前かがみで吹くスタイルはあの頃のまま。でもその映像自体が1987年のライブだけど。
小島さんはその後永井真理子や宮原学、泉谷しげる、吉田拓郎のバックを経てハウンドドッグに入る。しかし岡村靖幸のバックもやっていたとは知らなかった。
でも、ずっと好きだったヴァーションが実は身内が吹いていたと言うところにちょっと感動した。

小島さんはもうこの世にはいないが、この映像で甦ることを知り、YouTubeに感謝した。
甦る記憶と共にこのライブヴァージョンは永遠のものになった。

※ライブ:岡村靖幸 イケナイコトカイ Love φ Sex 88 DATE

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2015年11月30日
花形

by yyra87gata | 2015-11-30 14:25 | 音楽コラム | Comments(0)