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音楽雑文集


by yyra87gata

ユーミンの「ALBUM」とシングル盤


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不思議なアルバムである。

タイトルはずばり『ALBUM』(1977)である。名義は松任谷由実。

荒井由実と松任谷由実の曲がランダムに並ぶ。

ユーミンとしては、松任谷正隆との結婚で荒井から松任谷に姓を変え、心機一転のアルバム『ハルジョン・ヒメジョン』(1978)でスタートを切るというシナリオもあったであろうが、いきなり出鼻をくじかれたようで、まさかのベスト盤の発表であった。

東芝EMIからの要請で渋々発表を許可したようで、発売日はまさに1977年12月25日。クリスマス商戦に乗じてか、「ユーミンの結婚記念盤」とまで宣伝されたアルバムで、大人の事情がぷんぷん匂う作品である。

そのためかユーミン自身はこのアルバムをあまり良く思っていないようで、著書「ルージュの伝言」にもそのようなことが記載されている。なんでも売上が悪かったから自分のアルバムの中で「最大の汚点」らしい。しかし、言わせて貰えば、渋々リリースした経緯もあり、本人もあまり力を入れて無かったと見受けられるので(ジャケットなんてただのレコードの写真ですから・・・しかもサンプル盤)、そんなこと書かなければいいのにと思ったけどね。

私は当時そんな事情も知らず、このアルバムを購入し愛聴していた。このアルバム『ALBUM』は(ややこしい)、荒井由実時代の曲を6曲と松任谷由実として発表された2枚のシングル盤のAB面が収録されており、予算の都合でシングル盤まで手が届かない当時中学生の私はお得感満載で購入したという記憶がある(しかし、その後シングル盤も結局揃えちゃうんだけどね)。

特に当時のシングル盤「遠い旅路」(B面「ナビゲーター」)、と「潮風にちぎれて」(B面「消灯飛行」)はこの『ALBUM』がCD化されていないので、中々陽の目を見ることが無い。

そういえば、この頃のユーミンのシングル盤は中々渋い作品が多く、CD化されていないものが多いのだ。

ESPER」(1980.3)は後のアルバム『REINCARNATION』(1983)に別テイクで収録されるがシングルヴァージョンのそれは松原正樹のギターをふんだんにフューチャーしたもので、アルバム『時の無いホテル』(1980)からこぼれたものと推察される。また、次作の「白日夢・DAYDREAM」(1980.5)は打って変わって落ち着いたヨーロピアンなミドル・オブ・ザ・ロードで、朝の番組のテーマ曲というのも頷ける作品(朝の番組ではちょっと渋すぎるかもしれんな)。

そして極めつけは、「星のルージュリアン」(1980.8)。1970年代後半から1980年代中半にかけてとにかく化粧品メーカーのタイアップを取ればみんなヒットしたという定説がある中、あまりにも渋すぎてオリコン46位というユーミンにしては不名誉な成績を残した名曲である。でも良く考えたら1980年って彼女シングルを3枚も発表してるのね。すごいパワーを感じるんだけど、みんなオリコン30位にも入らない。ユーミンは、アルバム志向といえばそれまでなんだが、レコード会社にしてみれば痛いね、こりゃ。

でも「星のルージュリアン」。これ、アタシ大好きな歌でね。こんなセンスのあるシティポップ、ユーミンじゃなければパフォーマンスできないよ、と勝手に思っていた。

ルージュリアンって言葉も聞いた事の無いワードで、ユーミンはつくづくコピーライターだなと思う。化粧品メーカーはポーラ化粧品で口紅のコマーシャルだった。

ルージュリアンの次のシングル盤は「守ってあげたい」(1981.6)だから、ここからユーミンのメガヒットアルバムの大行進が始まるんだけど、1980年までのユーミンのシングル盤・・・先ほどの『ALBUM』も含めてまとめてCD化して欲しいな。1989年にシングルCDで出た経緯はあったみたいだけど。

レコードのシングル盤は全部持っているんだけど、車で聴きたいし・・・。

とりとめのないことを書いてしまったが、ユーミンの「シングル盤でアルバム未収録&シングルヴァージョン作品集」なんて出たらすぐにポチッとする。

CDというメディアがなくなる前に形として残して欲しいのよ。ダウンロードじゃ味気ないから。


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2018年2月15日
花形





by yyra87gata | 2018-02-15 19:45 | アルバムレビュー | Comments(0)