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音楽雑文集


by yyra87gata

献杯 ルパン三世


 
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 ルパン三世の生みの親であるモンキー・パンチが亡くなった。

ルパンの声優だった山田康雄が亡くなった時もルパンはこれからどうなるのか、なんて話があったが、原作者がいなくなったら新作はないのかね。
それとも「サザエさん」のようにキャラクターが生き残って永遠に続くのかね。

 それはそれとして、私の世代はルパン三世の真っ只中の世代で、エメラルドグリーンのジャケットの初代ルパン三世の頃から見てきている。
映画にしろドラマにしろ最初のシリーズが一番インパクトがあるもので、その後のルパン三世にはあまり興味がなく、多くの方がベスト作品にあげる映画「カリオストロの城」は、ルパンの顔がジブリの丸顔で妙な気分だったし、山田さんが亡くなった後の栗田貫一の声に至っては、モノマネじゃねぇかという事で真剣に見ていない。
アニメは、長年続いていると声優が歳を取るので交代することがあるが、キャラクターにイメージがついてしまうから中々慣れることができないのだ。
特に峰不二子は、初代の二階堂有希子が一番良かった。それ以降の増山江威子はちょっとコミカルになってしまう。
これは、もともとルパン三世が青年漫画「漫画アクション」の連載漫画ということもあり、第1期のルパン三世はその色が濃かった。だから、テレビ漫画としては理解されず、視聴率も伸びなかったそうだ。しかし、再放送放映料が安い事で、日本テレビが幾度となく放映を繰り返していたら人気に繋がって第2期シリーズ(ルパンのジャケットが赤ね)の誕生となった。もちろん同じ間違いはできないので、脚色もテレビ用にして峰不二子のお色気シーンもコミカルになっていったということだ。
原作に近い第1期シリーズとはインパクトが違うのだ。

 映画ではルパン三世の実写版もある。
最近では2014年に小栗旬がルパンを演じた劇場版が制作された。まぁこのキャストが酷い。
小栗旬はまだしも、スレンダーな黒木メイサが峰不二子だったり、綾野剛の五ェ門って舐めてんのかってくらいイメージが違う。
1974年には「ルパン三世 念力珍作戦」という実写版があった。
当時は超能力ブームでユリ・ゲラーがスプーンを毎日曲げていたからルパン三世も便乗したと思われるこの作品。この頃「ノストラダムスの大予言」や「日本沈没」がベストセラーとなっており次々と映画化され、「ルパン三世 念力珍作戦」も映画「ノストラダムスの大予言」と併映だった。だから超能力ブームやオカルトブームに合わせたのだろう。
小学生の時に友達と連れ立ってこの映画を観に行ったが、ルパン三世役の目黒祐樹がいかにも詐欺師という顔。でも顔に緊張感がないので、どこのオヤジだよ、という感じで見ていた。加えて次元大介は田中邦衛だよ。もう、全然違うでしょ!
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 峰不二子は知らない女優だったけど妙にイロっぽいから良かったのかもしれないが、とにかくルパンと次元の顔に慣れるころには物語が終わってしまうという感想。なんで作ったのかわからないくらい内容が無かった。
小学生低学年で私は漫画(あの頃アニメなんて言葉はなかった)が実写映画になるとつまらなくなるという事を知り、その事は未だに間違いではないと思っている。
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 ルパン三世のテーマソングは何と言ってもチャーリー・コーセイの歌う「ルパン・ザ・サード」。
物語挿入歌も数曲あり、歌詞とも言えないスキャットはチャーリー・コーセイの気だるい歌い方が良い。作曲家、山下毅雄の曲に次々とチャーリー・コーセイはアドリブで英語のフレーズを乗せたという。レコーディングもほぼ初見の譜面で、次々と進められていったようでかなりスリリングである。
   ルパン三世という日本でいうところのネズミ小僧次郎吉のような反体制の悪党は庶民から支持され、正義の味方なのか盗賊なのかわからない立ち位置が緊張感も含め、気だるい音楽という化学反応を起こしたのではないか。
妙に明るくもなく、ロックビートのような頼もしさもない。
あるのは明日の見えないアウトローな音である。

 やはり、テレビアニメにしても実写版にしてもキャラクターが変わってしまいすぎて、初代を好む私としては、今のルパン三世のテーマソングよりチャーリー・コーセイのルパン三世で献杯。

2019年4月17日
はながた

by yyra87gata | 2019-04-17 15:26 | 音楽コラム | Comments(0)