楽器屋さんと定番のモデル
2025年 11月 12日
楽器屋さんに行く。60歳の少年は、45年前と全く同じ行動を取る。それは目を輝かせながら楽器を眺めるということ。昔と何も変わっちゃいない。変わったと言えば、少し金銭面に余裕があるくらいか。
楽器屋はアタシにとって宝石箱なんだよねぇ。だから、子供がおもちゃ売り場に行くのと一緒。ヴィンテージのレス・ポールやマーチンなんてずーっと見ていられる。そう言えば高校時代にショーケースの前でずーっと楽器を見ていたら、当時付き合っていた女に愛想をつかれて逃げられたことがあったなぁ。
楽器屋には所狭しとギターやベースが壁に掛けられ、相変わらず入り組んだ店内。地震がきたら逃げ場は無い。ネット販売の影響で本屋が激減の一途であるが、楽器屋はどうだろう。楽器には個体差があるから実際に弾いてみないとわからない部分もあるので、店舗は必要だと思うね。だから、お茶の水界隈は相変わらず賑わっている。アタシと同じような年代が多いけど。
ギターの試奏をしていると目に留まった貼り紙。
“「スモーク・オン・ザ・ウォーター」「天国への階段」禁止”の文字。世代を超えても、相変わらずギター小僧が弾くのだろう。アタシが中学の頃は「ブルー・ラグーン禁止」の文字も見たこともあった。
店員さんはみんなミュージシャン予備軍なのかね。みんなヘビメタ兄ちゃんに見える。ロングヘアーに汚ねぇコンバース。パンツはスリムのジーンズだね。ヘビメタが好きなの?って声を掛けたくなる。でも最近は小綺麗な店員さんも増えて、みんなエプロンしてる。どこの店もこれらのパターンかな。
ギターを試奏する時、昔は結構緊張したものよ。わかったような顔をしながら、ヘビメタ店員さんの説明を聞き流し、緊張する手でフレーズを奏でる。ゆったりとしたブルースなんて弾こうものなら、鼻でフンと笑われそう。でもアコースティックでヘビメタはできんしねぇ。
当時はMartinやGibsonなんてショーケースに飾られていて滅多に触ることができなかったから弾きたくも無いYAMAHAやMorrisあたりのフォークギターをジャカジャカストロークしていた。そりゃそうだ、中学生なんかにMartinなんて触らせてくれないよ。
しかし、最近はブランドギターの敷居が低くなったね。エレキギターで言えば、誰でもFenderというロゴのギターを持つことができる時代だ。Gibsonだって手頃な価格になっている。
どの楽器も緊張感無く、手にとって見ることができる。アタシが学生の頃はホント、輸入メーカーはみんなショーケースの中の楽器だった。
やっぱりFender Japanが一番の罪だと思うね。Fenderは選ばれし者しか弾いちゃいけなかったんだよ。
高校の文化祭で身の程知らずのボンボンの馬鹿野郎が、親に買ってもらったFenderなんかを弾いていると、よく「おめぇの腕でFenderかよ!Fenderが泣いてるぞ!」なんて野次が飛んだものだ。
でも、最近のFender Japanはとても出来が良いらしいね。音も良いらしい。でもなぁ、車で言うところのエンブレム・チューンみたいなものだからなぁ。要はGrecoを作っていた工場がFender Japanを作る。やっぱり、まがいもんみたいで好きになれないんだよね。Grecoの良さってあったんだけどなぁ。Fenderじゃなく、あえてGrecoを選ぶ、なんてね。
ところで、フェンダー社もギブソン社も毎年新たなモデルを発表しているが、ヴィンテージシリーズやヒストリックコレクションなるモデルを出し、いかに50年代60年代のモデルに近づけるか、などという後退なのか進化なのかわからない商品を毎年出している。これって、企業的に見て進化しているのかね。どうなんだろ。
ニューモデルがレス・ポール1959年モデルのレプリカってのも、どうかと思うしね。
そう言えば、「カスタムショップ」なんてブランド化しているものね。
定番モデルという言葉が存在する以上、定番のデザインがあまりに完成度が高いとそのモデルを超えることは至難の業なのであるな。だからメーカーとしては、時代に合ったニューモデルを発表している。しかし、ここ何十年もヒットモデルは発表されていない。
フェンダー社で言えば、ストラトキャスターやテレキャスターはオリジナルが一番だと思う人間からすると、派生モデルのバレットとかサイクロンってどうなのよ・・・って思うし、ましてやジャガーやマスタングを昔から知っている人間にしてみたら、ジャグスタングなんて・・・ね。

ギブソン社もSGなんて今じゃ定番だけど1950年代後期になってレス・ポールモデルの売上が落ち込み、1961年に後継機種で登場したレス・ポールモデルは、あまりのフルモデルチェンジぶりにユーザーを戸惑わせたようだ。そして、程なくしてレス・ポールモデルの名はレス・ポール氏との契約問題により解消されSGというモデルになった。なんでもレス・ポール氏はSGのスタイルを見てあまりの不恰好さに怒ったという。全然形も音も違うから、同じネーミングは確かに可笑しい。
しかし、そんなSGだって今じゃ定番。SGは発表以来廃版になる事は無いモデルとなった。
ギブソン社のほかのエレクトリックギターといったら、ES-335あたりのセミアコ系やその他フルアコ系、フライングV、エクスプローラー、ファイアーバードあたりが定番だよね。
そこら辺は、使用ミュージシャンも多く、何となく落ち着くが、いきなりモダーンとか、RDアーティストとか出されるとびっくりするし、マローダなんてね・・・。そういえば、ナイトホークってのもあったね。レス・ポールのできそこないみたいなやつ(ファンがいたらごめん)。

楽器屋さんでエフェクターを買うときなかなか音のチェックがしづらいよね。こっちは何台も並べて比べたいのに、そういうニーズにはなかなか応えてくれない。狭いスペースの中ではそんなことできないのかもしれないが、安い買い物ではないので、商品知識のある店員としっかり話をして購入を決めたいものだ。以前、アンプとエレキギターも持ち込んで、歪み系のエフェクターを買いに行った時のこと。気になったエフェクターを10個くらい選別して順番に音を出したことがあった。嫌な客だったろうと思うが、そこの店員が無知すぎて何もわからなかったのよ。だから、音を出して確認しただけなんだけどね。まぁ、商品知識なんだけど、店員はもっと勉強して欲しいね。自分の子供くらいの歳の店員もいるから、昔の話をしてもしょうがないんだけど、少なくとも最新の楽器に関しては知っていてほしいね。
そういう事をまとめていくと、入りやすい楽器屋とそうでない楽器屋の違いは、品揃えよりも店員を見るね。波長が合いやすそうな店員だと音楽談義もできるしね。でもアタシみたいなじじぃの相手は若い店員は嫌がるだろうね。楽器屋は、いつでも居心地の良い空間であってほしいんだけどねぇ。
2025年11月12日
花形

